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2010.12.15 |
はじめに |
『The maze of sleeping 〜睡眠迷宮〜』 side:B
息が詰まる。
呼吸の仕方を忘れてしまったように胸が苦しく、
気が付けば気持ちの悪い汗がぐっしょりと滲んでいた。
如何してこんなに息が上がり、脈が速くなっているのか、
理解するのに暫し時間が必要だった。
窓の向こうの夜空に浮かぶ月を眺めるでもなく視界に入れて、
秒針の進む音を聴き、うっすらと考える。
夢を見ていた。
しかし、内容は殆ど記憶に無く、
後味の悪さとずっしりと重い疲労感と、
どうしようもない空虚感だけが心に残されていた。
ぽっかりと大きな穴が心の中に空いていて、冷たい風が吹き抜けていく。
その風に攫われて、何か大切な、私の欠片とでも言うべきなのだろうか、
そんなものが飛ばされて行ってしまう感覚に陥っていた。
どうやら、夢に魘されて中途半端な時間に目覚めてしまったらしく、
まだ朝は遥か遠くで、これから夜が帳を降ろそうとしているようだった。
一度(ひとたび)、目が覚めてしまうと、
また眠りに就こうとしても妙に意識して逆に冴えてしまう。
再び深い眠りに就くのは無理なのだと気付いたら、
殆ど反射的に、私は夜の町へと飛び出していた。
何処に向かって歩いているのか、
今は町の何処を歩いているのか、
果たして何時まで歩くつもりなのか。
先程の夢が残した後味の悪さを拭う事に必死で、
それ以外には何も考えられず、抜け殻のように夜の町を彷徨っていた。
考えなく歩き倒すのは、抜けられない迷宮に翻弄されるのに似ている。
何処に居るのか記憶していない。
景色がまるで目に入って来ない。
頭の中はくらくらしてはっきりせず、
鉛の様な気持ちが心に沈殿している所為か身体は重いのに、
足取りだけがせっかちに前へと進みたがる。
声に呼び止められたのは、そんな時だった。
「こんな夜遅くに一人で散歩か?危ないぞ。」
淡々とした、だけど静かに優しさを湛えた、馴染みのある声だった。
夜に紛れてしまいそうな深い色の瞳が此方を見ている。
振り返ると、不思議そうな表情(かお)をした彼がいた。
「・・・眠れなくて。」
下手な嘘が通じる相手ではない。
友人同士の戯れ合いで冗談を言い合ったりすることはあるが、
肝心なところで彼はとても鋭い。
無理に元気に振る舞っても、敏感に気付かれてしまうことだろう。
そう考えて捻り出した無難だと思える言葉からも、
彼は何かしら感じ取ってしまったらしく、
小首を傾げて少しばかり考え込んだ。
「そうか。」
一言、呟くように相槌を打つ。
普段から、改まった雰囲気の時にはあまり無駄な言葉を挿むような人ではない。
素っ気無いと思われるかも知れないが、単に淡白なだけなのである。
いや、考えが回るからこそ、
態度が淡白に成らざるを得ないと言った方が正しいだろうか。
「場所を移さないか?話したくないならそれでも良いが。」
次に彼から発せられた言葉は、
短いけれどよく気を利かしてくれたものだった。
その言葉に促されるようにこくりと肯くと、
彼は行き成りそっと私の手を取り、導くように歩き出した。
触れられたその手の温かさに、
自分の手が何時の間にかすっかり冷えていたことに気付く。
僅かながら震えてもいた。
その冷たさや震えが彼に伝わってしまう事に、複雑な思いが胸に広がる。
後ろからでは表情(かお)は見えない。
彼の手に引かれ、ふらふらと覚束無い足取りで付いて行くが、
何度となくちらつく夢の影に微かに頭がずきずきと痛む。
あまりにも優しく握られた掌から、
ほんの少しの切なさと同時に、
ほんのりと安らぎが伝って来る気がした。
町は唯ひっそりと、呼吸をして生きている。
その証拠に、町が私に見せてくれる表情は、時間帯によって大きく異なる。
深夜を過ぎた今は、人気も無く閑散としていて、
幾らかひやりと冷たい印象を受けるが、
逆に干渉してくる事の無いこの時間の空気が私は好きなのである。
心に踏み込む音の無い空間では、気持ちが乱されず考え事が纏まり易い。
いや、本当は答えなんて出なくても良いのだ。
ゆっくりと考える事に意味があると、
私はいつだって自分自身に言い聞かせる。
考えて、答えらしい答えが出なくても、
心が落ち着くのならそれで良いのだ。
この町にはなだらかな坂が多く、
坂を上った先では小さくなった町を望む事の出来る、
こぢんまりとした広場のような場所が至る所にある。
急勾配の坂はあまり無いが、緩く続く道を辿れば空気が少し薄くなり澄んでいて、
上と下では割と高低差があることが感じられる。
連れられて来たこの場所も例外ではなく、
見下ろした町は海底に沈んでいるように星空の中にあった。
不安が心を支配する。
そんな突拍子もない話を、誰が親身になって聴いてくれると言うのだろう。
私自身、そんな存在の曖昧な感覚を、
具体的に且つ明確に話す自信など無く、
だから誰かに話す気なんて起こらなかったのだ。
まだ夢の中のように朦朧としていた頭が、
冷たい風に当っているうちに冴えてくると、随分と気分が良くなった。
今なら話せるかも知れない。
時には話して気持ちを外に出すことも必要なのかも知れない。
上手く伝えられるかどうかは分からないけれど、
彼ならきっと、何も訊かずに最後まで耳を傾けてくれる。
そのつもりで此処まで連れて来てくれたのなら、
心を開くことが彼の気遣いに対するお返しになるのかも知れない。
そう思って、まずは、最近よく見る夢について話し始めたのだ。
肺に溜まった空気を全て吐き出すように話すと、
新鮮な空気が流れ込んできたように清々しい。
どうやら私は、呼吸の仕方さえ本当に忘れてしまっていたようだ。
ほっとする。
傍で話を聴いてくれる人が居る事に。
安心感が心に沁み渡っていく。
その安心感に、自然と、言葉が溢れた。
「ありがとう。」
息が詰まる。
呼吸の仕方を忘れてしまったように胸が苦しく、
気が付けば気持ちの悪い汗がぐっしょりと滲んでいた。
如何してこんなに息が上がり、脈が速くなっているのか、
理解するのに暫し時間が必要だった。
窓の向こうの夜空に浮かぶ月を眺めるでもなく視界に入れて、
秒針の進む音を聴き、うっすらと考える。
夢を見ていた。
しかし、内容は殆ど記憶に無く、
後味の悪さとずっしりと重い疲労感と、
どうしようもない空虚感だけが心に残されていた。
ぽっかりと大きな穴が心の中に空いていて、冷たい風が吹き抜けていく。
その風に攫われて、何か大切な、私の欠片とでも言うべきなのだろうか、
そんなものが飛ばされて行ってしまう感覚に陥っていた。
どうやら、夢に魘されて中途半端な時間に目覚めてしまったらしく、
まだ朝は遥か遠くで、これから夜が帳を降ろそうとしているようだった。
一度(ひとたび)、目が覚めてしまうと、
また眠りに就こうとしても妙に意識して逆に冴えてしまう。
再び深い眠りに就くのは無理なのだと気付いたら、
殆ど反射的に、私は夜の町へと飛び出していた。
何処に向かって歩いているのか、
今は町の何処を歩いているのか、
果たして何時まで歩くつもりなのか。
先程の夢が残した後味の悪さを拭う事に必死で、
それ以外には何も考えられず、抜け殻のように夜の町を彷徨っていた。
考えなく歩き倒すのは、抜けられない迷宮に翻弄されるのに似ている。
何処に居るのか記憶していない。
景色がまるで目に入って来ない。
頭の中はくらくらしてはっきりせず、
鉛の様な気持ちが心に沈殿している所為か身体は重いのに、
足取りだけがせっかちに前へと進みたがる。
声に呼び止められたのは、そんな時だった。
「こんな夜遅くに一人で散歩か?危ないぞ。」
淡々とした、だけど静かに優しさを湛えた、馴染みのある声だった。
夜に紛れてしまいそうな深い色の瞳が此方を見ている。
振り返ると、不思議そうな表情(かお)をした彼がいた。
「・・・眠れなくて。」
下手な嘘が通じる相手ではない。
友人同士の戯れ合いで冗談を言い合ったりすることはあるが、
肝心なところで彼はとても鋭い。
無理に元気に振る舞っても、敏感に気付かれてしまうことだろう。
そう考えて捻り出した無難だと思える言葉からも、
彼は何かしら感じ取ってしまったらしく、
小首を傾げて少しばかり考え込んだ。
「そうか。」
一言、呟くように相槌を打つ。
普段から、改まった雰囲気の時にはあまり無駄な言葉を挿むような人ではない。
素っ気無いと思われるかも知れないが、単に淡白なだけなのである。
いや、考えが回るからこそ、
態度が淡白に成らざるを得ないと言った方が正しいだろうか。
「場所を移さないか?話したくないならそれでも良いが。」
次に彼から発せられた言葉は、
短いけれどよく気を利かしてくれたものだった。
その言葉に促されるようにこくりと肯くと、
彼は行き成りそっと私の手を取り、導くように歩き出した。
触れられたその手の温かさに、
自分の手が何時の間にかすっかり冷えていたことに気付く。
僅かながら震えてもいた。
その冷たさや震えが彼に伝わってしまう事に、複雑な思いが胸に広がる。
後ろからでは表情(かお)は見えない。
彼の手に引かれ、ふらふらと覚束無い足取りで付いて行くが、
何度となくちらつく夢の影に微かに頭がずきずきと痛む。
あまりにも優しく握られた掌から、
ほんの少しの切なさと同時に、
ほんのりと安らぎが伝って来る気がした。
町は唯ひっそりと、呼吸をして生きている。
その証拠に、町が私に見せてくれる表情は、時間帯によって大きく異なる。
深夜を過ぎた今は、人気も無く閑散としていて、
幾らかひやりと冷たい印象を受けるが、
逆に干渉してくる事の無いこの時間の空気が私は好きなのである。
心に踏み込む音の無い空間では、気持ちが乱されず考え事が纏まり易い。
いや、本当は答えなんて出なくても良いのだ。
ゆっくりと考える事に意味があると、
私はいつだって自分自身に言い聞かせる。
考えて、答えらしい答えが出なくても、
心が落ち着くのならそれで良いのだ。
この町にはなだらかな坂が多く、
坂を上った先では小さくなった町を望む事の出来る、
こぢんまりとした広場のような場所が至る所にある。
急勾配の坂はあまり無いが、緩く続く道を辿れば空気が少し薄くなり澄んでいて、
上と下では割と高低差があることが感じられる。
連れられて来たこの場所も例外ではなく、
見下ろした町は海底に沈んでいるように星空の中にあった。
不安が心を支配する。
そんな突拍子もない話を、誰が親身になって聴いてくれると言うのだろう。
私自身、そんな存在の曖昧な感覚を、
具体的に且つ明確に話す自信など無く、
だから誰かに話す気なんて起こらなかったのだ。
まだ夢の中のように朦朧としていた頭が、
冷たい風に当っているうちに冴えてくると、随分と気分が良くなった。
今なら話せるかも知れない。
時には話して気持ちを外に出すことも必要なのかも知れない。
上手く伝えられるかどうかは分からないけれど、
彼ならきっと、何も訊かずに最後まで耳を傾けてくれる。
そのつもりで此処まで連れて来てくれたのなら、
心を開くことが彼の気遣いに対するお返しになるのかも知れない。
そう思って、まずは、最近よく見る夢について話し始めたのだ。
肺に溜まった空気を全て吐き出すように話すと、
新鮮な空気が流れ込んできたように清々しい。
どうやら私は、呼吸の仕方さえ本当に忘れてしまっていたようだ。
ほっとする。
傍で話を聴いてくれる人が居る事に。
安心感が心に沁み渡っていく。
その安心感に、自然と、言葉が溢れた。
「ありがとう。」
『The maze of sleeping 〜睡眠迷宮〜』 side:A
悪い夢を見ると、その夢の所為で昂った心を鎮める為に、
深い青色の降りた星空の下を徘徊するのだと彼女は言った。
さっき見た悪い夢を振り払いたい一心で、
星の海の中をぼんやりと歩いていく。
深く息を吸えば心地好さが胸を満たすほどに、
夜の空気は澄み渡り、昼とはまた違った雰囲気を作り出している。
少女の速くなっていた鼓動も、乱れていた呼吸も、
その空気に触れて次第に落ち着きを取り戻していた。
手を伸ばしたら触れることだって出来そうなくらいに、星がとても近い。
今にも泣き出してしまいそうに潤んだ瞳(め)には、
その光は深海から見たようにぼやけて映る。
白昼の喧騒が嘘のように静まり返った町は、
気分転換の為に散歩するのには最適であるに違いない。
しかし、こんな夜遅くに独りで居るのが危ない事に変わりは無いのでそう言うと、
夜の町を独りで歩くのが好きだからと彼女は穏やかに微笑んだ。
独りになりたい時もあるのだろう。
目覚めの悪い夢を見てしまったのなら一層。
悪い夢から覚めるには、少し肌寒い夜風に当たりながら、
何も考えずに歩くのが最適なのは確かだ。
邪魔をしてしまっただろうかと、そんな気持ちが少年の胸の中にはあった。
少し歩いて、落ち着いて話の出来そうな場所に移動する途中、
どちらもずっと黙したままだった。
だからと言って、何か話を取り繕って、
この無言の状況を回避しようと考える事はない。
足を進めるにつれ流れていく景色に目を遣りながら、
緩く結んだ手に引かれて、少女は少年の半歩後ろを歩いていた。
沈黙が苦しいとは思わない。
苦しく感じるのはきっと波のように押し寄せる不安だ。
握った手がひんやりと冷たく、微かに震えている。
ぎゅっと握り締めて温めようかとも思うのだが、
どんな反応をするだろうか、
急に強く握ったりして驚きはしないだろうかと考えると、
そんな勇気は出なかった。
ただそれが自然な状態であるかのように、
二つの足音だけが暗く穏やかに寝静まった町に小さく木霊していた。
ゆっくりと、冷たい空気で肺を満たすように深呼吸をし、
自分の鼓動を確認するかのように目を瞑って、
少年の傍らで少女は夜風にあたっている。
ふわり、ふわりと、風に波打つ艶っぽく金色にも似た薄茶色の少女の髪からは、
仄かに優しい甘い香りが漂う。
甘い香りと言っても、香水の類の強い匂いではなくもっと自然で、
ほんわりとチョコレートが香るような、そんな感じの香りである。
彼女の隣に居るとよくこの香りが鼻孔をつくので、
使っているシャンプーか何かの香りであろう。
辺りに漂うその甘い香りに、その柔らかに靡く髪に、
そっと触れてみたいと思う衝動は何なのだろうか。
快い静寂がすっぽりと包み込んだ町を、
淡く柔らかな輝きに満ちた三日の月が見下ろしている。
少女は暫しその心地好さに身を委ねていたが、
時計の針が何周ほど廻った頃だろうか、
少し小高い、町全体をぐるりと見渡せるこの場所から、
夜闇にきらきらと光る世界を愛おしむように見詰め、
空の群青に溶けてしまいそうな落ち着いた声で話し始めた。
時々、どうしようもなく不安が押し寄せる。
穏やかに、それでいてしっかりと話す彼女は、
先程まで悪い夢に震えていたとは思えないくらいに力強く感じる。
彼女の持つ雰囲気と、何よりも紡がれた言葉が、
あまりにも真っ直ぐで少し驚いた・・・なんて言ったら、どんな風に返すだろうか。
手摺りに手を掛けて前を見据えたまま、
ちゃんと伝わるようにと整理された言葉を、
心に沁み渡るような深く透明な声で紡ぎ出す。
彼女の話を遮らないよう、無駄な言葉は挿まない。
それでも、彼女は此方がちゃんと聴いていると理解していて、
丁寧に言葉を選んで話している。
夜はまだ、時間を許してくれていた。
本当に、少し前まで泣きそうな表情(かお)をしていた。
最近の彼女が、ずっと何かに対して落ち込んでいた事にも気付いていた。
しかし、彼女は自分から容易く悩みを打ち明けたり、
無闇に誰かを頼ろうとする人ではないし、
此方もそういった事に対して上手く立ち回れるほど器用ではない。
悩んでいる事に気付けても、
隣に居る彼女を、癒す術も、慰める言葉さえ、
持ってはいない自分があまりに悔しかった。
それでも、彼女は自身で迷路の出口を見付けたのだろう。
今は穏やかに夜空の海に眠る町を見下ろしている。
見守る事しか出来ない・・・いや、見守るだけで良いのだろうが。
「ありがとう。」
不意に、彼女はそう言った。
聞き間違いなどでは無くて、確かに彼女はそう言ったのだ。
「・・・え?」
その言葉の意図が掴めず、少年は思わず面食らった。
感謝されるような事は何一つした覚えが無いのだ。
寧ろ、何一つ彼女の力になれない事に、
不甲斐無さを感じていたくらいなのに、だ。
「一緒に居てくれてありがとう。
本当は少し、心細かったから。」
そう言って、心が軽くなったのであろう、
呼び止めた時には想像も出来なかったくらいに、
少女はほわりと柔らかに微笑んだ。
チョコレートが優しく解(ほど)けて、甘い香りが広がるように笑う、
その笑顔があまりにも可愛くて、此方まで顔が綻んでしまう。
きっともうじき、夜が明けて、
眩しい光に目を閉じてしまいそうになっても、
その笑顔が消えないように見守っていたいと思った。
悪い夢を見ると、その夢の所為で昂った心を鎮める為に、
深い青色の降りた星空の下を徘徊するのだと彼女は言った。
さっき見た悪い夢を振り払いたい一心で、
星の海の中をぼんやりと歩いていく。
深く息を吸えば心地好さが胸を満たすほどに、
夜の空気は澄み渡り、昼とはまた違った雰囲気を作り出している。
少女の速くなっていた鼓動も、乱れていた呼吸も、
その空気に触れて次第に落ち着きを取り戻していた。
手を伸ばしたら触れることだって出来そうなくらいに、星がとても近い。
今にも泣き出してしまいそうに潤んだ瞳(め)には、
その光は深海から見たようにぼやけて映る。
白昼の喧騒が嘘のように静まり返った町は、
気分転換の為に散歩するのには最適であるに違いない。
しかし、こんな夜遅くに独りで居るのが危ない事に変わりは無いのでそう言うと、
夜の町を独りで歩くのが好きだからと彼女は穏やかに微笑んだ。
独りになりたい時もあるのだろう。
目覚めの悪い夢を見てしまったのなら一層。
悪い夢から覚めるには、少し肌寒い夜風に当たりながら、
何も考えずに歩くのが最適なのは確かだ。
邪魔をしてしまっただろうかと、そんな気持ちが少年の胸の中にはあった。
少し歩いて、落ち着いて話の出来そうな場所に移動する途中、
どちらもずっと黙したままだった。
だからと言って、何か話を取り繕って、
この無言の状況を回避しようと考える事はない。
足を進めるにつれ流れていく景色に目を遣りながら、
緩く結んだ手に引かれて、少女は少年の半歩後ろを歩いていた。
沈黙が苦しいとは思わない。
苦しく感じるのはきっと波のように押し寄せる不安だ。
握った手がひんやりと冷たく、微かに震えている。
ぎゅっと握り締めて温めようかとも思うのだが、
どんな反応をするだろうか、
急に強く握ったりして驚きはしないだろうかと考えると、
そんな勇気は出なかった。
ただそれが自然な状態であるかのように、
二つの足音だけが暗く穏やかに寝静まった町に小さく木霊していた。
ゆっくりと、冷たい空気で肺を満たすように深呼吸をし、
自分の鼓動を確認するかのように目を瞑って、
少年の傍らで少女は夜風にあたっている。
ふわり、ふわりと、風に波打つ艶っぽく金色にも似た薄茶色の少女の髪からは、
仄かに優しい甘い香りが漂う。
甘い香りと言っても、香水の類の強い匂いではなくもっと自然で、
ほんわりとチョコレートが香るような、そんな感じの香りである。
彼女の隣に居るとよくこの香りが鼻孔をつくので、
使っているシャンプーか何かの香りであろう。
辺りに漂うその甘い香りに、その柔らかに靡く髪に、
そっと触れてみたいと思う衝動は何なのだろうか。
快い静寂がすっぽりと包み込んだ町を、
淡く柔らかな輝きに満ちた三日の月が見下ろしている。
少女は暫しその心地好さに身を委ねていたが、
時計の針が何周ほど廻った頃だろうか、
少し小高い、町全体をぐるりと見渡せるこの場所から、
夜闇にきらきらと光る世界を愛おしむように見詰め、
空の群青に溶けてしまいそうな落ち着いた声で話し始めた。
時々、どうしようもなく不安が押し寄せる。
穏やかに、それでいてしっかりと話す彼女は、
先程まで悪い夢に震えていたとは思えないくらいに力強く感じる。
彼女の持つ雰囲気と、何よりも紡がれた言葉が、
あまりにも真っ直ぐで少し驚いた・・・なんて言ったら、どんな風に返すだろうか。
手摺りに手を掛けて前を見据えたまま、
ちゃんと伝わるようにと整理された言葉を、
心に沁み渡るような深く透明な声で紡ぎ出す。
彼女の話を遮らないよう、無駄な言葉は挿まない。
それでも、彼女は此方がちゃんと聴いていると理解していて、
丁寧に言葉を選んで話している。
夜はまだ、時間を許してくれていた。
本当に、少し前まで泣きそうな表情(かお)をしていた。
最近の彼女が、ずっと何かに対して落ち込んでいた事にも気付いていた。
しかし、彼女は自分から容易く悩みを打ち明けたり、
無闇に誰かを頼ろうとする人ではないし、
此方もそういった事に対して上手く立ち回れるほど器用ではない。
悩んでいる事に気付けても、
隣に居る彼女を、癒す術も、慰める言葉さえ、
持ってはいない自分があまりに悔しかった。
それでも、彼女は自身で迷路の出口を見付けたのだろう。
今は穏やかに夜空の海に眠る町を見下ろしている。
見守る事しか出来ない・・・いや、見守るだけで良いのだろうが。
「ありがとう。」
不意に、彼女はそう言った。
聞き間違いなどでは無くて、確かに彼女はそう言ったのだ。
「・・・え?」
その言葉の意図が掴めず、少年は思わず面食らった。
感謝されるような事は何一つした覚えが無いのだ。
寧ろ、何一つ彼女の力になれない事に、
不甲斐無さを感じていたくらいなのに、だ。
「一緒に居てくれてありがとう。
本当は少し、心細かったから。」
そう言って、心が軽くなったのであろう、
呼び止めた時には想像も出来なかったくらいに、
少女はほわりと柔らかに微笑んだ。
チョコレートが優しく解(ほど)けて、甘い香りが広がるように笑う、
その笑顔があまりにも可愛くて、此方まで顔が綻んでしまう。
きっともうじき、夜が明けて、
眩しい光に目を閉じてしまいそうになっても、
その笑顔が消えないように見守っていたいと思った。
お久しぶりです〜。
・・・・・なんて書くのは何度目でしょうか。。
そんな訳で、予告通り十二月半ばに帰って来ましたっ。
一時、何故かログインできなくて「どーしよー;;」とか言ってましたが、初歩的ミスでした。。
物書きも絵描きもパソコンも、それからテンミリオンも、
中学の頃より疎遠になってしまったのですが、
どれもやっぱり好きなので細々とでも続けていきたいです。
暫く行ってないけど、余裕が出来たらテンミリにも行きたいですね。
テンミリで出会った方々とまたお話してみたいなーと思う今日この頃。。
そして世間はすっかりクリスマスシーズンですね。
今年もクリスマスは学校です・・・あとその後に年末年始のバイトが入るかも。。
一か月未満ですが、初バイトです。。
が、シフトの郵送が遅れているそうなので、
今週金曜日辺りまで予定がわからないという・・・。
あと、年賀状というものは忘却の彼方にありました・・・ので、
送るのが遅くなるやもしれません;; >>私信。
うーむ・・・実質、年始まで年賀状を書く時間が殆どなさそうな。。
今年こそは手書きしたかったのですが、また印刷に頼る気がする!
と言うか私の手書き年賀なんて欲しい人いるんですかね・・・?
年賀状と言えば、なのですが!
ネット徘徊していると、年賀状企画をしていらっしゃる方がいらして、
素敵だなと思いつつ、チキンなので尊敬絵師さんのもいつも応募(?)出来ず・・・。。
本当・・・どれだけチキンなんだろう私・・・。
チキン美味しいですよね、チキン。。(って、話が違うよね。。
そう言えば、とある漫画のキャラが、
BUMPのボーカルの人に見えて仕方なかった今日この頃。
そんなに似てる・・・って訳でもないのですが、
多分、年齢がどっちも29歳だったからですね。。
そんなこんなで、今日はこれにて。。
・・・・・なんて書くのは何度目でしょうか。。
そんな訳で、予告通り十二月半ばに帰って来ましたっ。
一時、何故かログインできなくて「どーしよー;;」とか言ってましたが、初歩的ミスでした。。
物書きも絵描きもパソコンも、それからテンミリオンも、
中学の頃より疎遠になってしまったのですが、
どれもやっぱり好きなので細々とでも続けていきたいです。
暫く行ってないけど、余裕が出来たらテンミリにも行きたいですね。
テンミリで出会った方々とまたお話してみたいなーと思う今日この頃。。
そして世間はすっかりクリスマスシーズンですね。
今年もクリスマスは学校です・・・あとその後に年末年始のバイトが入るかも。。
一か月未満ですが、初バイトです。。
が、シフトの郵送が遅れているそうなので、
今週金曜日辺りまで予定がわからないという・・・。
あと、年賀状というものは忘却の彼方にありました・・・ので、
送るのが遅くなるやもしれません;; >>私信。
うーむ・・・実質、年始まで年賀状を書く時間が殆どなさそうな。。
今年こそは手書きしたかったのですが、また印刷に頼る気がする!
と言うか私の手書き年賀なんて欲しい人いるんですかね・・・?
年賀状と言えば、なのですが!
ネット徘徊していると、年賀状企画をしていらっしゃる方がいらして、
素敵だなと思いつつ、チキンなので尊敬絵師さんのもいつも応募(?)出来ず・・・。。
本当・・・どれだけチキンなんだろう私・・・。
チキン美味しいですよね、チキン。。(って、話が違うよね。。
そう言えば、とある漫画のキャラが、
BUMPのボーカルの人に見えて仕方なかった今日この頃。
そんなに似てる・・・って訳でもないのですが、
多分、年齢がどっちも29歳だったからですね。。
そんなこんなで、今日はこれにて。。
・・・・・お久しぶりです、一週間以内に更新しに来ますとか言ったの誰ですか。(私ですorz
ここのところ忙しくてどうにも余裕が持てないです。。
そして話は変わりまして、今日はお友達とカラオケ行ってきましたー!
この面子はやっぱり良いな。
いろいろ話せてとっても楽しかったです!
えー、引いちゃうような話して御免なさい〜。
どうかこれからも末長くお友達でいてやって下さい・・・。
最近、『みんなのうた』が懐かしくて仕方ありません。
懐かしくていろいろ聴いてたのですが、やっぱり大好きv
幼稚園生の頃から中学生の頃まで、一時見てない時期もありましたが殆どずっと見てました。
5分という短い時間でもテレビに釘付けで見てました。
思えば私のファンタジーとかほのぼの好きの原点のひとつかも知れないですね。
本当に好きでファンサイトさんに通ってた時期もあったんですよ。。
暫く見てなかったからまた見てみようかな〜。。
それから『みんなのうた』関連で、谷山浩子さんの音楽にハマってしまいましたv
あ〜、もう、本当に素敵なんですよっv
以前の記事にもリンク貼ったのですが、要望があったのでもう一度ペタリしときますね。。
■手書きブログ■
えーと・・・テブロではちょっとオタクチックな事とか書いて(描いて)いたりするので、
大丈夫な方のみでお願いしますね。。
私のことだから過度なものはないと思うのですが;;
でも時々カップリングとか描きたくはなっちゃいますもの!(あ。
あと、更新は非常にゆっくりです、ゆっくり。。
えーと、暫くこのブログの更新を休止させて頂きたいと思います。。
この頃はあまり更新できない日々が続いていたので、
いっそ更新停止宣言した方が良いだろうと思いまして。。
十二月半ばには戻ってこれるようにします〜。
それでは、またの機会まで御機嫌よう〜。。
ここのところ忙しくてどうにも余裕が持てないです。。
そして話は変わりまして、今日はお友達とカラオケ行ってきましたー!
この面子はやっぱり良いな。
いろいろ話せてとっても楽しかったです!
えー、引いちゃうような話して御免なさい〜。
どうかこれからも末長くお友達でいてやって下さい・・・。
最近、『みんなのうた』が懐かしくて仕方ありません。
懐かしくていろいろ聴いてたのですが、やっぱり大好きv
幼稚園生の頃から中学生の頃まで、一時見てない時期もありましたが殆どずっと見てました。
5分という短い時間でもテレビに釘付けで見てました。
思えば私のファンタジーとかほのぼの好きの原点のひとつかも知れないですね。
本当に好きでファンサイトさんに通ってた時期もあったんですよ。。
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えーと、暫くこのブログの更新を休止させて頂きたいと思います。。
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十二月半ばには戻ってこれるようにします〜。
それでは、またの機会まで御機嫌よう〜。。